なぜこの5つの分野なのか
日常語の出どころとして数が多いのは、長く続いた見世物と、長く続いた組織です。相撲と歌舞伎は江戸の庶民が毎日話題にした興行で、専門用語がそのまま世間話に流れ込みました。仏教は寺が教育と記録の場だった期間が長く、語彙の底に沈んでいます。囲碁と将棋は武士から町人まで遊んだ盤上の勝負で、勝ち負けの言い回しを供給しました。刀は武士の身の回りの道具で、部品の名前が比喩になりました。
逆に、もとの世界では今も現役の用語であることが多いので、意味のずれが起きます。相撲の「勇み足」は決まり手の名前ですが、日常では失敗の意味しか残っていません。仏教の「他力本願」は阿弥陀仏の力にすがることで、人任せという意味ではありませんでした。